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中高年に多い心臓病

中高年に多い心臓疾患は
中高年になるに従い、 血圧が上昇し高血圧の頻度が増加するとともに生活習慣病と呼ばれる、 肥満、 高脂血症、糖尿病の発症率が増加してきます。 これらの病気は全て、動脈硬化を進行させる事が知られています。 このためこのような生活習慣病をもつ中高年では冠動脈という心臓の筋肉を栄養している血管が病的に動脈硬化を来しやすく、 虚血性心疾患と呼ばれる狭心症や心筋梗塞の発症が増加してきます。  
1998年の統計によると、 虚血性心疾患の1年間の死亡数は約75万人で心疾患の全体の57. 2%を占めています。

その原因は
虚血性心疾患は、 先程述べたように冠動脈という心臓の血管の動脈硬化が原因です。 動脈硬化は生理的な老化によっても生じますが、 病的に冠動脈に動脈硬化が進行し、 粥種と呼ばれるあぶらのかたまりにより冠動脈の狭窄を生じたものが狭心症です。 通常正常血管内径の75%以上狭窄が進行すると、 心臓の筋肉に充分な血流を供給することが出来なくなり、 狭心症を発症します。 また、 このような動脈硬化が進行し血管が完全に詰まってしまうと急性心筋梗塞を発症します。 急性心筋梗塞は、 冠動脈の不安定な粥腫が破れ、 そこに血小板という止血に関与する細胞が集まり血栓を形成することにより、血管が閉塞し発症します。 心筋梗塞は、急性期の死亡率が、10%にも達する致死的な病気です。 また、急性期を乗り切っても心臓の筋肉の一部が壊死に陥り、機能しなくなるため,回復しても、日常生活に支障がでる場合も多く、発症の予防が大切です。

自覚症状などシグナルは
狭心症のもっとも一般的な症状は、階段昇降や坂道を上ったときなど労作時に起こる胸痛です。 これは、労作時には心筋の酸素需要が増加するため、冠動脈に狭窄があると充分な酸素を供給できなくなるため起こります。 さらに、狭窄が高度になり病状が進行するとより軽い労作や安静時にも症状が起こるようになります。 通常は胸の中央から左側に痛みを感じることが一般的です。 また,左腕や左の奥歯に痛みが放散することもあります。 一口に胸痛と言ってもその訴えは人それぞれ違い、胸が圧迫される感じとか締め付けられる感じと表現する方もいます。 また、高齢者や糖尿病の方では、息切れや動悸のみが出現し胸痛を感じない場合もありますし、特に糖尿病の方では、無痛性心筋虚血と呼ばれ全く症状を感じない場合もあります。 このような症状は安静にすると 2-3分で消失するのが一般的ですが、重症の場合は5分以上症状が続く場合もあります。 また、15分以上続く場合は急性心筋梗塞の発症が疑われ、一刻も早く病院を受診することが必要です。

シグナルが見られたら
最近、歩行時に胸が苦しいとか、息切れが強いとか何らかの胸部の異常を感じられたら,まず循環器専門の医療機関を受診して下さい。 狭心症は症状が出現している時に心電図をとり、特徴的な心電図波形の変化をとらえないと診断が出来ません。 このため、安静時の心電図検査では診断できない場合が多く、狭心症が疑われた場合は、症状がでるような運動を行っていただき心電図を記録する、運動負荷心電図の検査を行います。 これには階段昇降を行いその前後で心電図を記録する検査や、トレッドミルと呼ばれるベルトコンベアーの上を心電図を記録しながら歩く検査、エルゴメータと呼ばれる自転車をこいで心電図を記録する検査などがあります。 また、日常生活で胸部症状が出現する場合は、ホルター心電図と呼ばれる携帯型心電図を装着していただき、24時間の心電図を記録する検査も有用です。
特に、今まで異常なかったのにここ2-3日で症状が出現してきたとか、最近、今までよりも軽い労作で症状が出現するといった状態は、不安定狭心症と呼ばれ、急性心筋梗塞へ進展する可能性が高く、なるべく早く専門の医療機関を受診する事が必要です。

治療法について
狭心症の確定診断と治療法決定のためには、心臓カテーテル検査を行い冠動脈に直接造影剤を流し冠動脈を撮影することが一般的です。 心臓の筋肉を栄養する冠動脈は、左冠動脈2本と右冠動脈1本の3本からなっており、これらの血管のどの場所にどの程度の狭窄があるかにより、治療方法が決まります。 治療方法は、内科的な薬剤治療、冠動脈形成術、外科的バイパス手術の3つに分けられます。
薬剤治療では、ニトログリセリンなどの硝酸剤やカルシウム拮抗剤と呼ばれる血管拡張剤やベータブロッカーと呼ばれる心筋の酸素消費を減らすお薬や動脈硬化の粥腫に血栓と呼ばれる血液の固まりが付きにくくする抗血小板剤を使います。 ただし、薬剤治療は対症療法であって、冠動脈の狭窄そのものを治療するわけではありません。
つぎの冠動脈形成術はカテーテルを用いて冠動脈の病変部をバルーンと呼ばれる風船で拡張する方法です。 冠動脈形成術は、拡張に成功しても治療後 3-6ヶ月後に約40%の再狭窄を認めるという問題点がありましたが、 最近では、バルーンで拡張した後に、ステントと呼ばれる金属を植え込むことにより、再狭窄率も20%程度に減少し、治療成績がかなり向上しています。
外科的バイパス手術は、通常は2本以上の冠動脈に病変のあるより重症な方が、適応になります。 最近では、より侵襲度が低い手術方法が開発され、成績も向上しています。
いずれにせよ治療方法は、患者さんの冠動脈の状態、年齢や合併症の有無およびご本人のご希望を総合的に検討し決定されます。 以上が狭心症の治療です。
次に、急性心筋梗塞を発症した場合は、一刻も早く、閉塞した血管の血流を再開させる再潅流療法を施行する必要があります。 閉塞後6時間以内に血流を再開させることが出来れば、心筋のダメージを減らすことが出来ます。 再潅流療法には、血栓溶解剤という薬剤を用いる方法と冠動脈形成術による方法がありますが、いずれも循環器専門医のいる病院への入院が必要です。   

普段生活の中で心がけておきたいことは
虚血性心疾患の危険因子として、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満,ストレスなどがあります。 これらは全て動脈硬化を促進させ虚血性心疾患の原因となります。
高血圧は、収縮期血圧140以上、または拡張期血圧が90以上の場合診断されます。
高脂血症は、血中のコレステロールおよび中性脂肪の上昇です。 中高年の方の場合、他の危険因子がなければ、血中の総コレステロール値が240以上の場合、高脂血症と診断されます。 ただし、コレステロールの中でもLDLコレステロールと呼ばれる悪玉コレステロールがより動脈硬化の進行に関与していると言われています。 虚血性心疾患の予防のための、コレステロールの治療目標はその他の危険因子をいくつもっているかによって決まっており、この基準にもとずいた治療が必要です。 糖尿病は、空腹時血糖が126以上または食後2時間値が200以上の場合診断されます。 しかしながら、この基準を満たす以前の耐糖能障害と呼ばれる糖尿病の1歩手前の状態でも動脈硬化が進行することが知られています。
このような生活習慣病を発症しないための予防がひいては虚血性心疾患の予防につながります。 重要なのは生活習慣の改善です。 まず、食事は、食べ過ぎや、動物性脂肪の取りすぎに注意して下さい。 また、塩分の取りすぎは血圧の上昇につながるので注意が必要です。 日本人の平均塩分摂取量は 12-13グラムです。 正常血圧の方でも高血圧の予防のため10グラム以下に、また、高血圧で治療中の方は7グラム以下を目標にして下さい。
第二に、運動習慣を付けて下さい。 運動は週3回以上、30分以上を目標に行って下さい。 運動強度は、脈拍を参考にすると良いでしょう。 心臓病のない人では1分間に120位まで、心臓病の方は100位までが目安です。 一番簡単なのは、1日1万歩を目安に歩くことです。 第三に、たばこを吸われる方は禁煙して下さい喫煙は、肺癌の危険因子だということはよく知られていますが、心臓病にとってもきわめて有害です。 たばこを1箱吸うと虚血性心疾患は2倍、2-3箱だと3-4倍起こりやすくなると言われています。
最後に、40歳を過ぎたら年一回は定期検診を受診して下さい。 高血圧も高脂血症も糖尿病も初期には自覚症状がでないことがほとんどです、しかしながら、このような疾患は確実に動脈硬化を進行させます。 年一回の定期検査を受診することにより、早期に異常を発見し、適切な治療を受けることが出来れば、薬剤を使わずとも生活習慣の改善のみで治癒する場合もあります。 これら生活習慣病の早期発見と治療が、致死的な虚血性心疾患や脳梗塞の予防につながるのです。

これらの抜粋は平成15年に、調布FMでお話しました。
 


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